「民主にファシズムの傾向」佐藤優
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加藤思何理の不確定性日記。
猫太の介護日誌
平成22・1・22(金) 「の」の字と「ノ」の字
「の」の字
便秘の利用者の便通を促す為に腹部を平仮名の
「の」の字にマッサージする事がある。
「の」の字のマッサージは腸の向きに沿ったマッサージらしい。
高齢者は便秘が過ぎると腸閉塞になるので
便通の有無は毎日確認する。
お通じが緩いと失禁が増え介護する側が大変である。
人によっては便が緩いと肛門にびらんを来たす時もある。
また緩い便通が多いと褥瘡(床ずれ)にもなりやすくなる。
褥瘡にある方の対策として便通を固くしたら褥瘡が完治した
ケースもある。
便通の管理には下剤が必須だが施設によっては
下剤に頼らない便通管理を目指している所もあるらしい。
「ノ」の字
私は若いので着物を普段、着ないし着物姿を見る事も
殆どない。
介護の現場で浴衣を着せる時がある。
例えば腕を骨折した方のお世話はトレーナーを着せるよりも
浴衣である。
ところが浴衣を着せる時に右前だか左前だかどちらが正しいのか
判断に迷う時がある。
そんな時は「ノ」の字に着物の前を合わせるのだと記憶しておく。
浴衣は逝去された方にも着せる。
看取り対応で夜勤中に逝去された方がいらした。
浴衣を着せたが右、左どちらを前にすべきかわからない。
困ったあげく実家の母親に施設から深夜に電話して聞いた。
浴衣は右手を懐に入れる方向に前を合わせるのが通常であるとの返事であった。
つまり逝去された方はその逆にする訳である。
「ノ」の字というキーワードと右手を懐に入れやすい向きに着物の前を合わせる
という理屈を覚えたので今では着物の前合わせの向きに迷う事はなくなった。
12月26日(土)
介護業界にも人事評価制度を導入しようと厚労省は考えているようです。
私の施設でも人事評価制度が始まります。
福祉業界に人事制度が馴染むのか疑問はありますが
介護業界も以前のように補助金の運営でなく
介護報酬を自ら稼がなくてはいけないので
限られた収入しかない中で従来の年功序列の給与体系は
維持できませんから時代の流れで仕方ないのかもしれません。
介護保険が始まる前に補助金で老人施設を運営していた時代は介護職員にとっては
良い時代だったようです。
利用者の稼働率がどうであれ毎年ベースアップがありましたから。
介護報酬で稼ぐ今の時代において、施設は稼働率を向上させるのに必死です。
デイサービスも以前は施設が決めたバス停までの送り迎えは家族の側の義務でしたが、今の時代は施設側でドア トゥ ドアで玄関まで送るのが当たり前になりました。
エレベータのない家の2階に住む利用者は送迎職員が2階まで背負って運びます。
認知症のお婆さんが背負う職員の耳をかじったり身体を触ってきたりと大変な場合も
あるようです。
施設にとっては大変ですが利用者にとっては有難い事かもしれません。
失業者が多い現在、人手が足りない介護業界に失業者を送り込む話があります。
私の施設にも有名私大卒で一般企業をリストラされて施設介護が初めての50代の男性が面接にきましたがウチの施設では採用しませんでした。
福祉職が未経験の50代の男性でもデイサービスなら何とかなるかもしれませんが
重度の老人をケアする施設介護の職員として適応できるケースはまれだと思います。
生意気なようですが福祉職を目指す人は給料を稼ぐという動機以外に
福祉職を目指す前向きな動機がないと適応は厳しいように思います。
私自身も一般職から福祉職に転向した人間ですが福祉職に入る前に
ボランティア経験があり、単に給料が欲しいというだけでなく
良い仕事をしてお年寄りに喜ばれたいという動機がありました。
マスコミが福祉職は安くてきついと報道していますし、コムスン事件もあり
福祉職を目指す若い人は減っています。
大学や専門学校の福祉学科の閉鎖や縮小が相次いでいます。
昨年、介護報酬のプラス改定で賃金が少し上がったから何とか人手が足りていますが
もしマイナス改定だったら人手が集まらず大変なことになっていたと思います。
政府は赤字国債に追われて大変な財政状況だというのはわかりますが
高齢者福祉を充実させるにはある程度の財政出動がないと
サービスの現状維持と向上は厳しいと実感しています。
11月7日(土)
深夜、夜勤の巡回時、入居者のお婆さんのお部屋に入る。
ベッドに横たわっているお婆さんは目を開いていて
室内は常夜灯のオレンジ色の明りが灯っている。
薄明かりの中、お婆さんは懐中電灯を肩に下げた私(男性)の右隣を
見て「その女の子はどうしたの?」と尋ねてくる。
私は右を見るが誰もいるわけがない。
背筋がゾーッとした。
深夜にオムツいじりをする方がいる。
認知症のお婆さんがオムツの中に手を入れ
頭に便をぬりたくっているのを職員がみつける。
シーツ、着衣などを夜勤者がすべて交換して
お婆さんの身体も綺麗にしないといけない。
私の施設は身体拘束をしない方針なので
「ツナギ」を着せないし「ミトン」も使わない。
拘束をしないオムツいじり対策として
オバケのQ太郎のように裾の長い服を着せ
オムツに手が届かないようにするとか
腰痛ベルトを当てるとかオムツを2重にあてるなど
いくつか方法があると
思う。
夜勤者がオムツいじりの便の処理にあたると30分以上は
その方につきっきりで作業しないといけない。
その間に他の方のコールがなれば作業を終えるのに1時間かかるかもしれない。
夜勤者にとって大変な作業である。
私の施設の男性のある同僚は38度の熱があっても夜勤を
休まない。座薬を使って熱を下げ拘束時間16時間の夜勤をする。
勿論同僚には言わない。
言えば家に帰るよう言われるから。
私もその話は後で聞いた。
インフルエンザやノロウイルスなど感染症の場合は
入居者に感染させる恐れがあるので休まざるを得ないが
単なる体調不良では休まないとの信念をその職員は持っている様子。
他の職員は熱があれば休むのでその職員は特別だと思う。
今後、団塊の世代で要介護状態になる方が増えると予想されるので
介護に多くの人材が必要になると思われる。
各種学校の介護学科は応募者減でどんどん閉鎖している。
介護志望の若者は減っているし、なり手が少ないので
このままでは介護を必要とする当事者や家族は困るようになると思う。
現在フィリピン人やインドネシア人が介護の現場に来ているが
将来は出稼ぎの外国人に頼らざるを得ないのかもしれない。
2009・10・29(木)
老人ホームのYさんは胃ろう(お腹に穴を開け管を通して流動食で食事をすること)
で寝たきりの70代の女性です。
手足は拘縮がひどく職員が衣類交換するのも気を使います。
お部屋の棚にはYさんが黄色い浴衣を着て椅子に座って微笑んでいる写真が飾ってあ
ります。
写真は老人ホームに入所する前の元気な頃のものです。
Yさんは話す事はできませんが、頭はしっかりしていていてこちらの話しかけた内容
は全て理解しています。
愉快な話をすれば微笑みで返してくれます。
その方は痰がらみがひどく毎日吸引をします。
吸引は鼻からチューブを差し込み機械の負の圧力で喉の奥の痰を吸い取ります。
吸引すると苦しそうな表情を見せひどくムセます。
施設にいても元気な高齢者は外出もできますが虚弱なYさんは入浴以外は毎日お部屋のベッドで横たわっています。
私はある日、Yさんを勇気付けようと思い話しかけました。
「Yさんが生きているのは私たち職員が優しくなる為に必要だと思いますよ」と声を掛けると涙ぐまれて喜んでいました。
この話はもう何年も前の話でYさん既には亡くなっています。
私は障害のある方について、ある考えがあります。
障害のある方は世間から白い目でみられる場合があるかもしれません。
私の知り合いの障害者で自殺した人を何人か知っています。
私は神様が社会に優しさをもたらす為に障害のある人をこの世に遣わしたのだと
考えます。
知的障害者の家族の活動家が言った言葉です。
「この子たちに世の光を」ではなく「この子たちを世の光に」であるべきだと。
私も同感です。(猫太)